光触媒最新情報

光触媒とタバコのニオイ

2012-07-31

(1)最近の喫煙事情
 最近はタバコの値上がりや禁煙区域の広がりなど、愛煙家には厳しい状況が続いています(まだまだ厳しくなるようですが)。そんなおり、都内に有料の喫煙所が現れてニュースになっています。「ippuku」という名前の施設で、快適な環境でタバコを吸えるようになっているようです。その施設で光触媒を使っているということを聞きましたので、少し調べてみました。「ippuku」では光触媒ユニットを使った換気システムと光触媒を塗付した内装材を使用しているようです。それで今回はタバコと光触媒について取り上げてみたいと思います。

(2)タバコのニオイの中身
 そもそもタバコのニオイとはどのような成分からできているものでしょうか。一番多い成分はアセトアルデヒドで、その他にアンモニアや硫化水素、酢酸などが含まれており、ごく微量成分まで含めるとかなりの種類になるようです。成分名だけみていると結構毒性の高いものもあり、タバコを止めてよかったと思ったりします。アセトアルデヒドはお酒を飲んだときにアルコールが分解される途中で生成するものとして知っている人もいるかもしれませんが、光触媒の消臭能力を試験するときにもよく使われるガス成分です。アセトアルデヒドは布地などにあまり吸着しないので、光触媒を塗付した試料の消臭試験をするときに触媒反応でどれくらい除去できたか測定し易いのです。
 濃度がどれくらになるのか、ということについてはタバコを吸う場所の条件で大きく変わりますが、例えば車のような狭くて密閉性の比較的高い空間でタバコを吸うと、アセトアルデヒド濃度が数ppmを超えることもあるようです。この状態は、国が決めたアセトアルデヒドの室内基準値(0.03ppm)に較べて二桁高い値になっています。一時的な値とはいえかなり高い濃度になるので、タバコは吸う場所をきちんと選ばなくてはならないものでしょう。

(3)タバコの消臭の難しさ
 前記のようにタバコのニオイは様々な成分が混ざり合った複合臭になっています。その中でアセトアルデヒドは中性の成分なのですが、アンモニアはアルカリ(塩基)性に、酢酸は酸性に分類される成分です(大雑把な分類ですが)。アルカリ性のニオイ成分には酸性の消臭剤成分で中和し、酸性のニオイ成分はアルカリ性の消臭成分で中和できますが、タバコはこの両方の成分を含んでいます。そのため酸性とアルカリ性両方の消臭成分が必要になります。また中性のニオイ成分であるアセトアルデヒドは酸アルカリのように中和できず吸着もほとんどしないので、アセトアルデヒドの吸着に特化した特別な消臭剤成分が必要になります。そのほか様々な成分を含んでいるので、それに対応した様々な消臭成分を準備することになります。このようにタバコの消臭は通常の消臭剤では処理するのがもともと難しいニオイなのです。

(4)光触媒によるタバコの消臭
 それに対して光触媒の消臭能力はタバコの消臭に優れた能力を発揮します。もともとタバコのニオイの大部分は、タバコの葉が不完全燃焼してできた成分です。光触媒は強力な酸化力で、不完全燃焼でできた成分を完全に燃焼して分解するのです。オゾンによる消臭もオゾンの酸化力によるものですが、光触媒はオゾンより強い酸化力を持っています。またオゾンは毒性があるので人がいる環境中に放出しないようにして使われますが、光触媒の酸化力は光触媒の粒子表面で発生するものなので、消臭装置内で使用するだけでなく「ippuku」のように内装材に塗付して壁でも消臭することができるようになります。光触媒が働くには光が必要という条件がありますが、明るい部屋であればとても優れた消臭方法の一つであると思います。

(5)最近の光触媒事情
 以上のように光触媒はタバコの消臭に優れているとお話ししました。「ippuku」は最近できた施設ですが、光触媒によるタバコの消臭はすでにいろいろなところで使われています。新幹線の客室内はすべて禁煙でタバコを吸う人は喫煙スペースに行くことになりますが、この喫煙スペースの空気清浄機にもすでに光触媒が使われています。タバコ消臭には光触媒が適しているということでしょう。また単に消臭するというだけでなくウイルスや菌の除去にも効果を発揮するため、公共施設での使用も検討されています。千歳空港などでは実用化の試験が行われました。一部では採用され始めていますが、電車やバス、タクシーなどの車室内でもこれからさらに広まってゆくものと思われます。気が付かないうちに身の回りのいろいろなところで光触媒が使われるようになっているのです。
 タバコ消臭にチカラを発揮する光触媒ではありますが、光触媒は光の条件で性能が変わります。装置として使う場合は光源を設けることによって安定的に働きますが、壁などに塗付した場合は照明や窓からの光で働くことになります。最近はLED照明も使われるようになってきましたが、通常のLED照明はほとんど紫外線を含んでいないようです。そのため外からの光が届かない部屋でLED照明を使っているような場合は、可視光応答型光触媒を使う必要があります。すでにカタライズでも可視光応答型光触媒をラインアップしていますが、さらに高性能化を目指して開発を進めています。

                                 【室伏】

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