従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(2)

-消臭できるニオイ成分について-

前回、消臭効果の持続性について解説しました。今回は従来の消臭剤と光触媒で消臭できるニオイ成分に違いがあることについて取り上げます。

【香りのついた消臭剤】
 従来の消臭剤と光触媒の消臭メカニズムについては前回解説しました。また今まで発表してきた雑誌のレビューや、カタライズ光触媒事業説明会などでも解説していますので、ここでは改めて説明することはしません。ただ、皆さんは不思議に思ったことはありませんか。消臭剤に香りがついていることを。最近はいろいろなものに香りがついていますが、消臭剤にも香りがついているのです。中には「いい香りは消臭しません」と謳っている消臭剤もあります。でも実は意図的に消臭しないようにしているのではなく、消臭できない(しにくい)のです。

【芳香族化合物の消臭】
 「いい香り」の代表的な成分として芳香族化合物というものがあります。「芳香」というそのままの名前がついています。今回はその中の一つであるトルエンの消臭について調べてみました。トルエンは塗料の溶剤に使われていますが、VOC(揮発性有機化合物)に含まれるもので環境に悪影響を及ぼすために規制されている化合物です。不良が吸引して事故を起こすこともありますが、悪いニオイではありません。また、芳香族化合物以外の成分(今回はホルムアルデヒドを使いました)の消臭とも比較してみました。
 従来の消臭剤は、某大手メーカーの置き型消臭剤の無香タイプを薬局から購入してきました。ゼリー状の消臭成分が130g入っており、そのうち25gをシャーレに取って試料としました(写真1)。光触媒試料は当社のヒカリアクターを塗付した布地を使用しました。ガスバッグに試料を置いてニオイを含む空気を入れてブラックライトで紫外線を照射し、一定時間後にニオイ成分の濃度を測定するという試験を行いました。
 図1はホルムアルデヒドの試験結果です。従来型消臭剤も光触媒もしっかりと消臭機能を発揮しています。
 図2はトルエンの試験結果です。光触媒はしっかりと消臭機能を発揮していますが、従来の消臭剤では消臭できないことがわかります。
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写真1;市販の消臭剤

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   図1;ホルムアルデヒド消臭試験

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     図2;トルエン消臭試験

 最近は洗濯柔軟剤などにも香りがつくようになり、様々な場所で香りがするようになりました。その影響で「スメハラ」などという香りが原因の問題も発生するようになっています。図2の結果から、このような「いい香り」に対しては従来の消臭剤では効果が得られない、という可能性があることがわかります。またトルエンのような一部のVOCも除去できません。従来型の消臭剤でもVOCを除去できるというものもあるようですが、様々なニオイ成分に対応するためにはいろいろな消臭成分を組み合わせる必要があるのです。そのため一般に販売されている従来の消臭剤は、使用する場面に合わせたタイプにわかれていることが多いのです。光触媒と較べて従来の消臭剤は手軽にどこでも使えるというメリットはあるのですが、消臭効果が得られない成分もあるということがおわかりいただけたでしょうか。

                                    【室伏】

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