従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(3)

-従来の抗菌剤-

 今回は抗菌性能について、従来品と光触媒とで比較してみたいと思います。まずは従来の抗菌剤について解説します。

【身の回りにある抗菌製品】
 今私たちの身の回りには様々な抗菌製品があります。従来の抗菌剤の主なものは銀や銅などの金属を含んだ無機系抗菌剤や、化学合成された有機系抗菌剤、さらにキトサンなどの天然系抗菌剤(有機物)などがあります。これらの抗菌剤を繊維に塗付したり、プラスチックなどに混ぜ込んだりして使用し、抗菌成分が菌と接触することにより抗菌性能が発揮されます。光触媒のように光は必要ないため、多くの製品に適用されいろいろな場所で使われています。
 光触媒よりも使い易いとはいえ、次のような問題点もあります。
①抗菌剤の種類によって効果の低い菌がある(いろいろな菌にする抗菌剤の効果を示したもの
 を「抗菌スペクトル」と言います)。また耐性菌ができる可能性もある。
②抗菌成分が菌に直接作用することで抗菌剤が消費されるため、効果に寿命がある(とはいえ、
 長期間持続できるような量を使っているでしょう)。
③表面が汚れてくると抗菌力が弱まる。
 ③に関連して、抗菌製品の業界団体でも注意を促しています。表面が汚れると抗菌成分が菌に到達できなくなるので、抗菌力を維持するために抗菌製品の表面はなるべく清浄に保つように、とのことです。汚れるから抗菌したいのでは…と思ったりします。どの程度汚れると抗菌力がなくなるのだろうか、多くの人が触れるのにあまり掃除をしていないようなモノでは抗菌できていないのであろうか、といった疑問が湧きました。そこでそんなモノのキレイさ(清潔度)を実際にチェックしてみることにしました。

【清潔度の測定方法】
 菌がどれくらいいるのかは、きちんと菌を培養して調べるべきなのでしょうが、残念ながら当社ではそのような試験は実施できません。そこで保健所が調理場の清潔度を調べるのに使っているATP拭取り検査装置を使ってみることにしました。
 これは調べたいモノの表面を湿らした綿棒のようなもので拭取り、付着したATPの量を測定するという装置です。ATPは生物が生きるためのエネルギーとして使っているもので、菌も細胞内でATPを生成しています。このATPがたくさん検出される場所には菌などの生き物がたくさん存在していると判断します。この装置は簡単に携帯でき、短時間で結果が出るためどこでもすぐに測定することができるのです。

【抗菌つり革】
 もう2年以上前になりますが、この光触媒最新情報で「電車でみつけた抗菌製品」という報告をしています。今回はこのつり革の清浄度を測定してみることにしました。
 測定は三角形のつり革で一番人が握る場所である底辺の部分を、検査用の綿棒で15回拭取るという操作で、抗菌仕様のつり革と抗菌仕様になっていないつり革で同じように測定して、ATPの値を比較するという方法にしました。つり革の使われ方などでATPの値はかなり幅が生じる可能性はあるのですが、しっかり抗菌できていれば抗菌仕様のものは全体として低い値になるはずです。
 測定は抗菌仕様および通常仕様について、それぞれ4点ずつ行いました(合計8点)。結果は抗菌のありなしで値に大きな違いはみられませんでした。どちらの仕様でも3点で1,000~2,000の範囲の値が得られて、1点ずつ5,000を超えるような値になっています(大きな差ではないのですが、最小値は通常仕様で、最大値は抗菌仕様で得られてしまいました)。具体的な数字や測定の詳細は当社の光触媒事業説明会で報告しますが、多くの人が触れて皮脂が付着しているようなモノでは、どうやら抗菌力はかなり低下してしまうようです。
 光触媒でも表面がひどく汚染されてしまうと効果がなくなってしまいます。が、光触媒は付着した汚染物質を分解除去する機能があります(自己回復力)。次回(4)では光触媒の自己回復力について検討した結果を報告しようと思います(詳細は事業説明会でも報告します)。

                                    【室伏】

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