LEDと光触媒

 カタライズでは現在、可視光応答型光触媒の高性能化を目指して開発を進めています。性能試験はJISの試験条件を参考にして主に蛍光灯を使った実験を行っていますが、最近は光源としてLEDが普及してきており、LEDでも光触媒は効果を発揮するのかということが問われるようになってきています。
 そこで今回は可視光応答型光触媒の性能試験について、光源を中心に解説してみたいと思います。

JISで使われる光源
 可視光応答型光触媒の性能試験に使う光源についてはJIS R 1750「屋内証明環境で用いる
光触媒試験用光源」に規定されています。そこでは「広帯域発光形蛍光ランプの普通形白色(記号W)」を使用することになっています。また必要に応じて「3波長域発光形白色(記号EWまたはEX-W)」も使えることになっています。公共施設の照明などによく使われており、メーカーによる差が少ないためにこの蛍光ランプが採用されたようです。蛍光ランプには他に「電球色(記号L)」や「昼白色(記号N)」「昼光色(記号D)」などがあります。これらの違いは色温度の違いで、色温度が高いほど白っぽく見えることになります(ちなみに電球色の色温度は約3,000K、白色は約4,000K、昼白色は約5,000Kといった具合です)。ただ、電器店などで蛍光ランプを探してみると「白色」はほとんどなく、「電球色」か「昼白色」
「昼光色」の3種類が多いようです。きちんとスペクトルは比較したことはないのですが、色温度が高い方が青色などの短波長側の光の割合が多くなっていると思われます。
 蛍光ランプはそのままでは紫外線を含んでいます。可視光応答型光触媒の可視光での性能を調べるためには紫外線が含まれているのは不都合なため、紫外線をカットするための樹脂製フィルターを使います。このフィルターについても光源と一緒にJISに決められています。JISでは蛍光ランプにカバーを付けていることを想定しており、カバーの特性に合わせて2種類のフィルターが規定されています。タイプAが400nm以下の波長をカットするもので、タイプBが380nm以下の波長をカットするものになっています。フィルターのタイプは、光触媒を使用する環境での照明の条件に合わせて任意にタイプを選ぶことができるようになっています。
 以上述べた光源が選定された事情についてはJIS R 1750の「解説」に記載されています。興味のある方はJISを調べてみてください。

LEDについて
 カタライズでは前記の光源条件に合わせ、2種類のフィルターも用意し可視光応答型光触媒の研究開発を行っています。しかしLED照明が増えるにつれて、「LEDでの光触媒性能は?」といった質問を受けることもあり、試験条件にLEDも加えることにしました。ただLED照明はまだこれから普及するものであり現在も開発が続けられているということで、JISでの採用は見送られています(後述するように、白色光の作り方にもいろいろあります)。そのため代表的なLED照明として、どの種類のLEDを使うべきか決められない状態です。LED照明でも色温度があり、様々な種類のLEDが販売されています。中には色温度を変化させることができる照明器具まであります。カタライズでは、暫定的に直管型の昼白色LEDを購入して試験を開始しています。
 蛍光ランプは紫外線を発生させてランプの内側に塗った蛍光塗料に当てて可視光に変えていますが、可視光に変化しなかった紫外線を僅かに含んでいます。LEDでも蛍光ランプと同様に紫外線から白色光を作るタイプもありますが、効率や価格の面から多くのLEDは紫外線を使わず、可視光のみを使って白色光を作っています(LEDで青色の光を発生し蛍光塗料で一部を黄色に変えて青と混ぜて白色に見えるようにするものなどがあります)。そのため紫外線はほとんど含んでおらず紫外線をカットするフィルターは必要ありません。LED照明では蛍光ランプに較べより高い可視光性能が求められるようになると考えています。
 カタライズでは蛍光ランプを使った試験を中心にLEDでの試験も随時行っています。試験結果などについては「光触媒説明会」でも報告してゆくつもりです。ご興味のある方はぜひご参加ください。

                                    【室伏】

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参考リンク先
 白色LEDの発光方式(東芝ライテック)

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