光触媒工業会技術研究会報告

 7月19日、光触媒工業会主催の技術研究会が開催され、聴講してきました。大学の研究者による講演2件と工業会会員による講演3件がありました。会員の報告は自社製品の紹介が中心でしたので、大学研究者による講演について報告します。

「環境浄化と人工光合成、それぞれの光触媒の設計」
   東京工業大学物質理工学院 教授 宮内雅浩 氏
 宮内先生はもとはTOTOで光触媒を研究されていた方なので、企業向けに役立つような講演内容になっていました。講演の構成は次の通りです。
 1.環境浄化と人工光合成
 2.人工光合成の研究紹介(CO2還元)
 3.最近の研究紹介
 「環境浄化と人工光合成」では抗菌や空気浄化などに求められる光触媒特性と人工光合成に求められる特性とが異なることを解説していました。環境浄化では如何に酸化分解反応を高めるかということが課題になりますが、人工光合成では例えば水の分解にしても分解生成した水素がすぐに酸化されては意味がありません。それぞれ別の研究開発が必要なことがよくわかりました。
 「人工光合成の研究紹介(CO2還元)」では具体的なCO2還元システムを紹介していました。このシステムでは水を分解してCO2を還元するための水素を生成するための光触媒とその水素を使ってCO2を還元する(アルデヒドなどの有機物を合成する)ための光触媒から構成されています。「Zスキーム」と言われている反応システムを如何に効率よく実行できるようにするかが開発のポイントとなっています。
 「最近の研究紹介」では光触媒を使った蚊取り器などが紹介されていました。またエネルギー問題に光触媒がどのように使えるのか、といったことにも触れていました。現在、天然ガス(メタン)を改質して水素などを生成する方法ではCO2も発生していますが、光触媒を使うことでCO2を再利用しながら水素などを製造する方法を紹介していました。

「粒子分散液膜の大面積塗付:基礎と最近の動向」
   九州工業大学大学院 工学研究院物質工学研究系 応用化学部門 教授 山村方人 氏
 山村先生は光触媒が専門ではなく、塗料などの粒子を分散した液を塗付したときにどのような膜構造ができるのか、といったことについての講演でした。液体が乾燥してゆくときに分散していた粒子がどのような構造になるのか、乾燥中に亀裂ができたり乾燥後の膜の強度がどのようになるのか、といったことを解説していました。光触媒をどう改良するかといった内容ではありませんでしたが、逆に普段は聴けないような内容となっており、カタライズでは光触媒粉末を水に分散した塗付液を開発しているのでとても参考になる講演でした。

 この他、工業会会員の講演はテイカ株式会社と信越化学工業株式会社、ボーケン品質評価機構の3企業・団体でした。製品などの紹介が中心でしたが、各社がどんなコンセプトで開発をしているのか知ることができ、なかなか興味深い講演でした。
 翌日にはやはり光触媒工業会主催の「きれいJAPAN」関連セミナーがありました。「きれいJAPAN」については以前報告していますが、光触媒工業会のHPにも掲載されましたのでそちらもご覧ください。

 花粉アレルゲンに対して光触媒が効果があるのか、ということについて評価試験を実施しています。近日中に結果を報告できると思います。ご期待ください。

                                   【室伏】

光触媒にご興味のある方は、ぜひ当社開催の「光触媒説明会」にご参加ください。
 →説明会のご案内と参加申込書(PDFのダウンロード)

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