従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(1)

-効果の持続性について-

 日本発の技術として光触媒を使った抗菌、消臭というものがあります。でも光触媒の利用が検討されるずっと前から、抗菌剤や消臭剤は身の回りで使われています。従来の抗菌剤や消臭剤と光触媒はどのように違うのか、何回かに分けて解説してゆきたいと思います。今回は第1回目として、効果の持続性の違いについて取り上げます。

【消臭メカニズム】
 従来の消臭剤というのは、ニオイ成分を消臭剤成分がキャッチすることで消臭しています。キャッチの仕方としては大きく分けて二つあります。一つは広い表面積を持った消臭成分(例えば活性炭など)に、ニオイ成分が吸着する方法です。もう一つはニオイ成分と消臭成分が化学的に反応して結合する方法があります。さらにこの二つの機能を両立した方法もあります。いずれにしても従来の消臭剤はその成分がニオイ成分と結合するため、消臭するたびに消臭成分が消費されてしまいます。一定期間使用した後に交換する必要があるのです。
 一方光触媒は触媒という働きで消臭を行うため、成分が消費されることはありません。光触媒は光のエネルギーを利用してニオイ成分を酸化分解する化学反応を促進しますが、反応の前後で光触媒は変化することがありません(それが触媒というものです)。光触媒が物理的に脱落してなくなったりしない限り補充の必要はないのです。

【繰り返し消臭試験】
 前記の「消臭メカニズム」を表した試験を紹介します。
 この実験は市販の消臭カーテンと、光触媒を加工したカーテンについて消臭効果を比較したものです。10×10cmの大きさに切り出した試料を1Lのバッグ内に置き、さらに5ppmのホルムアルデヒドを1L入れます。ブラックライトで紫外線を照射して23時間後にホルムアルデヒドの濃度を測定します。測定が終わると試料はそのままにしてバッグからガスを抜き、また5ppmのホルムアルデヒドを入れ紫外線を照射して23時間後の濃度を測定するという操作を繰り返しました。その結果が次のグラフです。
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 市販の消臭カーテンは1回目の測定では5ppmのホルムアルデヒドをすべて消臭(吸着)できましたが、2回目、3回目には消臭効果が大幅に低下し、4回目以降ではほとんど消臭することができなくなっています。これは消臭カーテンに使われている消臭剤(吸着剤)にホルムアルデヒドが結合することで消費され、吸着できる成分がなくなってしまったためです。もちろん製品によって使われている消臭剤の種類や量が異なるので、消臭できる量に違いがありもっと何回も繰り返すことのできる製品はあるでしょう。しかしこの結果のように一定の量を消臭すると、それ以上消臭できなくなるのが従来の消臭剤なのです。
 それに対して光触媒を加工したカーテンでは何度繰り返しても同じように消臭することが可能となっています。「光触媒の効果は長期間持続する」ということが示された結果になっています。

                                    【室伏】

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