実験してみました

 カタライズ技術センターが入居している建物(大手ハウスメーカー;2015年12月完成)の外壁は光触媒塗装をしています。この場合の光触媒機能は超親水性を利用していると思われますが、光触媒としての酸化分解反応も得られるのではないかと思い簡単な実験をしてみましたので、それについて報告します。

【メチレンブルー脱色試験】
 光触媒の酸化分解反応の有無を簡単に目で見て調べる方法に、メチレンブルーの脱色試験があります。メチレンブルーという青い有機化合物が光触媒によって酸化分解して脱色してゆくのを観察するのです。今回このメチレンブルーを外壁に塗付して脱色するかどうか調べてみました。比較としてヒカリアクターH1を塗付したタイルと未加工のタイルにもメチレンブルーを塗付して脱色状態を観察しました。

【試験結果】
 実験した日はあいにくの曇天で雨粒が時折落ちてくるような天気で、紫外線強度は0.2~0.25mW/平方cm、照度は約5~6kLuxという条件でした。ヒカリアクターH1を塗付したタイルでは5分ほどでメチレンブルーが脱色しました。外壁の方はタイルのようには脱色しませんでしたが、2時間後にはほぼ脱色していました(未加工のタイルのメチレンブルーは脱色していませんでした)。晴天であったならばもっと早く脱色したことでしょう。
 タイルは酸化分解による抗菌消臭性能を目的としたものなのでメチレンブルーをすぐに酸化分解できました。しかし外壁は冒頭で述べたように防汚を目的にしており、酸化分解性能よりも汚れが付きにくく超親水性を発揮することを優先するような構造になっている可能性があります。とはいえJIS1703のセルフクリーニング試験には湿式分解性能を測定する項目があり、メチレンブルーの脱色性能を測定することになっています。今回の簡単な試験とはメチレンブルーの脱色を測定する手順や条件は異なっていますので認証基準に対してどの程度の性能なのかはわかりませんが、実際の外壁でも光触媒による酸化分解性能を確認できました。建物は道路に面しているので光触媒外壁によって自動車の排気ガスも分解しているかもしれません。光
触媒外壁の建物が都会で増えれば沿道の環境改善が進むのではないか、と思えるような実験結果でした。

 脱色状態の写真を参考に掲載しておきます。見た目でははっきりと青く見えるのですが、写真ではなかなかきれいに見えないのが残念です。

 fig1
写真1;実験開始時のタイル(左が加工品、右が未加工品)

 fig2
写真2;5分後のタイル

 fig3
写真3;実験開始時の外壁

 fig4
写真4;2時間後の外壁

                                   【室伏】

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