今年の花粉飛散予報と光触媒による花粉対策

 新しい年が始まりました。しばらくは寒くなって行きますが、年が変わると春も近いという感じになります。春になると話題になるのが花粉です。昨年12月に今年の花粉飛散状況の予報が出ていました。それによると昨年よりは少なくなるようです。とはいえ昨年は花粉飛散量が非常に多かったので、例年と比べると例年よりは少し多くなるとのことです。そこで花粉と光触媒の関係について、昨年の夏に行った実験とその報告を再掲したいと思います。
 「光触媒は有機物を分解除去する力がある」ということで菌やウイルスを除去する効果があります。抗菌や抗ウイルスについてはJISで試験法が決まっており、カタライズでも試験を実施し、抗菌や抗ウイルス性能を確認してきました。ただ、光触媒による花粉の分解除去については試験方法が決まっておらず、効果を測定した実験はほとんど公表されてきませんでした。カタライズでは今回、光触媒により花粉アレルギーの原因となっているアレルゲンタンパクを分解できるのか実験しました。
 試験方法は手順としては抗菌試験などと似ています。ガラス板(5×5cm)にヒカリアクターH3を塗付したものを試料としました。衣類などに付着するスギ花粉の分解を想定すると布地に加工した方が良かったのですが、布地にアレルゲンタンパクが吸着すると試験の精度が著しく低下することが考えられたため、吸着がほとんどないガラス板を使用しました。光触媒による効果を測定する上ではこちらの方が適しているとも言えます。この試料にスギ花粉のアレルゲンタンパクを滴下し、乾燥しないように透明フィルムを被せ紫外線を4時間照射したあと、アレルゲンタンパクを洗い出してアレルゲンタンパクの量を測定しました。照射した紫外線強度はタンパク質が変性しないように0.25mWとしました。花粉は屋外を飛んでいますが、屋外の紫外線強度と較べると低めの紫外線強度となっています。アレルゲンタンパクの測定にはELISA法という方法を使いました。この方法はアレルゲン物質の測定に普通に使われている方法です。抗原抗体反応を利用してアレルゲンを測定するものです。タンパクが完全に分解しなくてもアレルゲンとして機能しなくなれば(不活化すれば)測定されなくなる、というものです。光触媒の酸化分解効果による花粉アレルゲンの不活化性能を測定することになります。
 4時間後のアレルゲンタンパクの測定結果は以下の通りです。
 
 アレルゲンタンパクの量は1サンプルあたりの重量(ng;百万分の1g)で表示されています。ヒカリアクター塗付ガラスの4時間後の測定結果は1.56未満となっていますが、これは検出限界が1.56ngであり試験結果の表示上「1.56未満」となっています。今回の試験ではアレルゲンタンパクは測定できない状態(ほぼ0)でした。
 なお初期のアレルゲンタンパクの量が87.1ngになっていますが、この量は主に実験操作上の制約から決められています。ただしスギ花粉が飛散している時期の大気中のアレルゲンタンパクの濃度が0.06ng/立方mという報告(大気環境学会 42 (6), 362-368)があり、その濃度と比較すると1,000倍以上の量となっているので、実験条件としては充分な負荷になっているものと考えられます。
 以上より、実用レベルで光触媒によりスギ花粉アレルゲンを不活化することができるという結果が得られました。上着やカーテンなどに光触媒を加工することで、室内に持ち込まれる花粉アレルゲンの量を減らすことができるのではないか、と考えています。光触媒で花粉対策になるような製品をいろいろと開発したいと思っています。

                                    【室伏】

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