光触媒における「意味のある差別化」とは

「意味のある差別化」を考えてみる
 日経テクノロジーのオンライン記事に「意味のある差別化と意味のない差別化を見極める」
というものがありました。記事の内容には触れませんが、自分では「意味のある差別化と意味のない差別化の見極め」くらいわかっていると思いつつも、それを普段の仕事(製品開発)の中でどれほど実践できているのか、と改めて考えるキッカケになりました。
 現在、光触媒という技術を使って、室内の抗菌消臭ができる製品の開発に取り組んでいます。当然光触媒ではない従来の抗菌消臭剤との違い(差別化)は考えて開発しています。ただそれが本当に「製品を使う側」にとって意味のあるものになっているのか、開発側の独りよがりになっていないか、常にチェックしてゆくことが必要だと思います。
 光触媒の優れた機能は日本で発見され世界中に注目されました(「本多藤嶋効果」について詳しくは光触媒最新情報「光触媒の歴史」を参照)。その後、セルフクリーニングや抗菌・消臭といった環境技術としての研究開発が日本を中心に進められてきました。日本発の新しい環境技術である光触媒を応用した様々な製品が開発されてきました。ただそれら製品が使う側にとって「意味のある差別化」になっているか、あるいは製品の新規性・独自性にメリットがあると使う側に直感的に理解できるようになっているか、ということになると、光触媒業界に身を置くものとして反省すべき点があるのではないかと思います。
 カタライズでは室内環境を改善するための光触媒製品を開発、販売しています。得られる効果については、光触媒で抗菌・消臭・抗ウイルスといった効果が得られます、といった説明をします。このとき従来からある抗菌・消臭剤とどのように差別化できるでしょうか。従来品に比べてより多くの種類の菌やニオイに対応できる、ということもできますが、いま一つ特徴がはっきりしません。効果が長期間持続するというのも、頻繁に使えばいいと思ってしまえば必ずしも優れた点とは言えなくなってしまいます。光触媒の優れた技術から得られる効果について、もっとわかり易い差別化の提案ができないものかと考えてみました。

ペットのための消臭剤
 技術的な面から考えると、一つは多くのニオイを消臭できること、中でも香料などのいいニオイも消臭できることではないでしょうか。最近、洗剤や柔軟剤などにも香料が添加されており、そのニオイで困っている人もでています(この状況については「身の回りの香りについて」ということで取り上げています)。この香料などによるいいニオイを除去するのは、従来の消臭剤では難しくなっています。多くの消臭剤に「いいニオイ」が付けられていることでもわかるでしょう。しかし光触媒は「いいニオイ」も除去できます(ここまでのことについては「従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(2)消臭できるニオイ成分について」で取り上げています)。ですので最近増えているこれらのニオイに悩んでいる方々向けに光触媒による消臭を提案してきました。でもこのいいニオイも消臭できるという技術の差別化はこれだけではありません。
 光触媒抗菌消臭スプレーの用途の一つとして、ペット用という分野があります。ただ、これはペットのニオイが部屋にこもったりしないように消臭するというものでした。でもペットと暮らしている人にとってはあまり気にならないものです。でも先に述べた様々な香料によるニオイがペットに与える影響はどうでしょうか。ペットの言葉がわかる訳ではありませんし、きちんとした検証実験をしたわけではないのであくまでも推測になってしまいますが、ニオイに敏感なペットにとって香料による強いニオイは何らかの影響があるのはないでしょうか。嗅覚に優れたペットにとっては香料のニオイが家族のニオイを嗅ぎ分ける邪魔になったりすることもあるでしょう。また人間でも不快を感じる場合があるニオイですから、よりニオイに敏感な
ペットにとっても不快に感じることもあるのではと思います。そんなときに香料のニオイも除去できる光触媒は、ペットにとって環境改善ができる「ペットのための消臭剤」という用途に使えるのではないでしょうか。
 今までも「ペットのための消臭剤」というものはありました。しかしその多くはペットに使っても無害であるということであり、消臭して利益を得るのは人間の方でした。しかし香料のニオイも除去できる光触媒による消臭では、ペットが利益を得られるようになります。本当の意味での「ペットのための消臭剤」になると思います。

汚れに強い抗菌剤(光触媒の自己回復力)
 もう一つは光触媒の自己回復力ではないでしょうか。これについては「従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(3)従来の抗菌剤」「従来の抗菌消臭剤と光触媒の違い(4)光触媒の自己回復力」で簡単な実験をしながら検証しています。
従来の抗菌剤は汚れが付着すると抗菌成分がブロックされてしまい、抗菌効果が得られなくなってしまうことがあります。しかし光触媒は手の脂などの汚れを分解する能力があるため、多少の汚れであればこれを分解して抗菌力を発揮することができます。この自己回復力は従来の抗菌剤にはない新しい機能であり、光触媒は「汚れに強い抗菌剤」と言えるのではないでしょうか。

 以上、意味のある差別化として二つのことを提案してみました。これが本当に「意味のある差別化」になるかどうかは、一般消費者にどのように受け入れられるかで決まりますが、今後とも継続して「意味のある差別化」を考えて行きたいと思います。

                                    【室伏】

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